
大地の息吹と生命力を感じる。
鈴木畳店のイ草。
熊本県八代市。そこは畳作りに欠かせないイ草の一大産地。
イ草が生まれ育ち、皆様のお部屋に届くまでを追います。

イ草は苗作りから始まり、ここまで来るのに1年。
収穫まで1年8か月。
農家さんの手により大切に育て上げられる。
”充実したイ草は土から”
有機質肥料を多く使用し、自然の力を利用した土作りが行われている。
シジミやタニシが生息する田んぼで、
豊かな水と太陽の恵みを受け、力強く成長する。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、環境の変化ニモマケヌ、丈夫ナイグサ。

6月下旬。十分に伸びきると一気に収穫される。
イ草が光を反射し輝きを放つ。
”青いダイヤモンド”とも呼ばれる由縁である。

収穫は、夜明け前から始まる。
暗闇の中をハーベスターが刈り取りで駆け回る。

収穫後、すぐに天然の泥(染土)を溶かした水に浸す。
コーティングすることで、乾燥促進と変色を防ぐ。
畳独特の香りと、肌触りも泥染めにより生まれるもの。
みずみずしく、生命力に溢れている。
息吹を感じる瞬間。

乾燥させたのち、長さで選別され、織機で畳表に加工される。

総仕上げ。
農家さんは、全て手作業でキズなどを確認して仕上げていく。
送り先の畳屋さんの顔を思い浮かべながら作業に臨むそう。

わけていただいた畳表を使い、私たちが畳を作製する。
農家さんの”想い”を乗せて、私たちは”魂”を込めて。

”ホンモノ”の輝きは、畳表になっても褪せない。
退色しても黄金色に輝く。

こうしてお客様のものへ届けられます。
畳は日本にしかない文化。
畳が部屋にあることは、日本文化がそこにあるということ。

あとがき
自分が感動するイ草で、もっと沢山の人に畳を届けたい。
紆余曲折する中で、奇跡的な巡り会わせにより、とある農家さんと出会い、
勉強のため、収穫(刈り取り)に伺ってきました。
作業は、ヌカるんだ田んぼに足を取られ、収穫したイ草の取扱いに苦労し
夏至を過ぎたばかりの日差しに体力を奪われ、
想像していた以上に過酷なものでした。
しかし、少しずつ慣れてくるにつれ、楽しむ余裕ができ、
お客様にお届けすることを想像しながらワクワクしていました。
農家さんが「天候に左右されることなく毎年良質なイ草を届ける。」
という責任と使命感を持って取り組まれている姿が心に残りました。
畳を作っているだけでは分からないコトです。
残留農薬ゼロ。
擦れにくく、美しさのなかに力強さのある畳表です。